長く、痺れる程に寒かった今年の冬の事など、もうすっかりと記憶の片隅に追いやり、街は桜桜の大合唱となりつつある。そんな最中、先日発売された季刊誌の『ナナムイびと』をドキドキしながら開く。何故なら日頃から良くして頂いている、なかよし図工室さんにお声を掛けて頂き、『枝屋』の屋号がひっそりと、しかし素敵な文章の中にしっかりとおもてなしを受けているはずだからである。文章は『ナナムイびと』を読んで頂くとして、仕事は小さい木匙に枝花を生けるというもの。悩みに悩んだ挙句辿り着いたのが壇香梅。クロモジの仲間で黄色い小さな花を咲かせる小粋な枝物です。作り込む事無く、目の留まった枝先に思い切って鋏を入れて木匙に添えてあげる。簡単な様でとても難しい。でもアイディアを生み出す面白みを再認識させられ、心地良い時間を過ごしたのであった。
イタリアのシシリ島生まれの宿根スイートピー。長さは1.2m。葉と茎はシルバーグリーン。2枚に分れた葉の間からツルの様な巻きを出します。よく出回っているスイートピーよりも花は小さめで花びらに透明感が無い変わりに肉厚で光沢があり、可愛らしいというよりも美しいという言葉が似合う花です。小さい小さいつぼみもしっかりと咲いてくれ、1本で長い間癒してくれる花です。
スズメウリ。本当か嘘か市場では昔から出回っている沖縄スズメウリと言う名の実。スイカの黒い模様の色を反転した模様が入っています。お隣のお店の方より沖縄で撮った写真を見せて貰うと間違い無く同じものが見事に藪などに絡まっています。本州で見られるスズメウリとは違う物の様です。ツルになっている為どんな形にしても飾れます。棚の上に寝かせてみたり、壁に吊るしてみたり。時間が経つにつれ緑色のこの『瓜』が黄緑、黄色、橙、赤と順に変化していきます。小粋な『瓜』は如何ですか?
ペンダントの明かりに照らされた『クロモジ』の枝を眺めながら遅い昼食。何と無しに本などをペラペラと捲りながら見上げると眼に飛び込んで来たクロモジ。すかさず写真を1枚。薄い若葉は光を通し輝いて見え、黒く細い枝とのバランスも絶妙。そこで暫し思案。色や形状のバランスが絶妙な物は不思議なもので、見付けに行かなくとも視界の片隅に入ると『それ』に自然と焦点を合わす様に出来ているのだろうか?それとも無意識に『それ』を探しているのかな?何て事を考えながら、去年の10月頃枝屋にやってきて漸く芽を吹かし、つぼみを綻ばせたクロモジに敬意を払いました。
市場で久方ぶりに『ココア』を入手して来ました。握りこぶし大のくすんだ塊が『ココア』の開く前の姿です。ココア色をしている事から安易に命名されたであろうこの大輪の菊はここから開き始めます。頭が大きい割りに茎が細いこの菊は大抵お辞儀をした姿で店頭に並びます。その為今回枝屋では1年以上長生きしているヒイラギ南天と辛夷と共に最上段に飾ってあげました。実に絶妙な垂れ具合で下から顔が良く見えます。無数に付いた花びらの一枚一枚が開いてくると内側は鮮やかなココア色。表現に適当な
言葉が見つかりませんがとても見事です。お近くにいらした際は覘いてみて下さい。
観葉植物のフィロデンドロ・フロリダビューティ。サトイモ科フィドデンドロン属、原生地 熱帯アメリカ 。乾燥に強く耐陰性に優れたフィロデンドロですが難点が1つ。成長が遅い。画像のフィロデンドロ・フロリダビューティは蔓のように長く長くひたすらに長く伸びてゆきます。1メーター程伸びた様は床にダラリと体を投げ
何ともやる気の無い姿になります。しかしそれがまた愛らしい。隣の木に引っ掛けてもたれ掛けさせてやったり、棚の上のほうから垂らしてやったりと、強い意志を感じさせないだけに、ある程度こちらの言いなりになってくれるのです。この子が少しでも早く体を預けてくれるのを楽しみに水遣りをしています。
画像の花は『スカビオサ・ステンクーゲル』。マツムシソウ科。南ヨーロッパ産まれ。西洋松虫草の花後の姿です。ドライフラワーにもなりますが、茶色のようなくすんだ色になってしまう為、断然に生花が綺麗です。種一つ一つの中心は透明感のある若葉色。ブーケやアレンジに1本使うだけで何故か素敵に見える花材ですが、ぶつぶつ恐怖症の方はご遠慮頂いたほうが良いかも知れません。

